研究紹介
Study
Study
研究グループ及び研究課題
超高精細CT
超高精細CTにおける基礎的・臨床的有用性についての検討
脳神経・脊髄・頭頚部領域
ASLの頭部疾患への応用, MR拡散tractographyの臨床応用
頭蓋内血管壁imaging
short TE MRS, perfusion imagingを用いた脳腫瘍の質的診断
呼吸器領域
MDCTの呼吸器疾患への応用
心大血管領域
MRIを用いた循環器疾患診断
冠動脈MRA・CT
慢性血栓塞栓性肺高血圧症のCTによる肺還流評価
腹部領域
EOBを用いた肝腫瘤性病変の画像診断、早期胃癌の画像診断
骨軟部領域
脊椎MRIにおける自動断面設定支援の研究
画像下治療Interventional radiology (IVR)
Dynamic Density Optimization(DDO)を用いたMotion Artifact低減の検討
核医学
核医学検査を用いた認知症の鑑別診断、予後予測に関する研究
臨床研究実施についてのお知らせ
杏林大学医学部付属病院放射線科(放射線医学教室)では以下の臨床研究を行っております。
この研究は、通常の診療で得られた過去の記録をまとめることによって行います。
このような研究は、厚生労働省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の規定により、対象となる患者さんお一人お一人から直接同意を得るのではなく、研究内容の情報を公開することが必要とされております。
この研究に関するお問い合わせなどがありましたら、以下の「問い合わせ先」へご照会ください。
両側内包後脚に拡散強調像で高信号を呈する病変の後方視的多施設検討
研究の概要と目的
MRI(magnetic resonance imaging)は X 線被ばくを伴うことなく、 いろいろな疾患を画像で描出することができる検査です。特に脳疾患においては形態だけ ではなく機能評価も可能となっています。MRI には様々な撮像方法がありますが、その中 でも拡散強調画像は急性期脳梗塞をはじめ、様々な疾患における病初期の異常所見を検 出する撮像方法です。また、この研究の対象である内包後脚は錐体路をはじめ、臨床的 に重要な神経路が密に走行している部分で、この部位を侵す病変の拡散強調画像での鑑 別診断や特徴を分析することは、早期かつ正確な診断を行うため臨床的に重要な意味を 持ちます。この研究では、これまでに蓄積された 1.5T および 3T 装置を用いた脳の MRI 画像を解析することで、病態解析や治療評価、予後予測などに MRI がどのように寄与するかを検討します。しかし、両側の内包後脚に異常信号をきたす疾患の頻度は多くないため、 複数の施設とともに解析を行います。
本研究の対象
本研究の対象者は2003年1月1日から2014年12月31日の間に脳のMRI検査を受けられた患者さんのうち両側の内包後脚に異常所見を認めた方です。 方法: 内包後脚病変の拡散強調画像での MR 信号強度、ADC値、異常信号分布などについて、視覚的評価と定量的評価を行います。また画像と臨床データとの関連、各種治療、予後などの関連についても評価を行います。
研究機関
杏林大学医学部・放射線医学教室
本研究への参加と個人情報の保護
本研究への参加を拒否されても何ら不利益は生じません。本研究に参加することで特別な謝礼などの資金援助はありません。また患者さんの費 用の負担もありません。 研究対象に使用する画像データは院内で厳重に保管し、患者さん のプライバシーの保護、人権保護 には最善を尽くします。学会や論文発表は個人情報を匿 名化して行われますので個人情報が漏えいすることはありません。
2003年1月1日から 2014年12月31日の間に脳のMRI検査を受けられた患者さんで、撮影された画像を研究対象として使用することに同意できない方がおられましたら下記までお知らせください。
本研究に関する問い合わせ先
杏林大学医学部付属病院放射線部
〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2
Tel: 0422-47-5511
担当:五明美穂(内線 5041)
3T MRIにおけるTime-spatial Labeling Inversion Pulse(Time-SLIP)法を用いた血管描出能の検討 ―1.5Tとの比較―
研究の意義・目的
従来,magnetic resonance imaging(MRI)による腎動脈の描出では造影magnetic resonance angiography(MRA)が主流でありましたが,現在では造影剤を使用しない非造影MRAが主流となっております。非造影MRAのメリットは,ダイナミック造影検査と異なり撮像タイミングに依存しないこと,nephrogenic systemic fibrosis(NSF)をはじめとする造影剤の副作用に留意せずに何度でも繰り返し検査を行えることにあります。したがって,術前,術後の評価を安全に行うことができます。Time-spatial labeling inversion pulse(Time-SLIP)法は、はじめに描出したい血管領域を選択し、selective IRパルスを任意の場所に設定することで背景信号が抑制され、流入する血流を描出する手法です。BBTI値(black blood time interval:selective IRパルスを設定して血行動態を反映する時間)を調整することにより、血行動態あるいは背景の腎実質信号をコントロールすることができ、観察したい分枝血管のみの描出や、血行動態を造影剤を使用することなく可視化できます。Time-SLIP法は1.5T MRIではすでにその描出能は確立された手法となっておりますが,近年の3T MRIの普及に伴い,高磁場装置を使用したTime-SLIP法も臨床応用されています。3T MRIによる腎動脈の非造影MRAでは,T1値の延長による背景信号の抑制効果や,signal-to-noise ratio(SNR)の上昇に伴う描出能の向上が期待できます。
研究の方法
撮像対象の患者さんは以下の通りです。
本研究の対象とした臨床例は1.5T MRIで平成26年5月から平成27年1月に撮像された連続30症例,3T MRIで平成27年2月から平成27年8月に撮像された連続30症例をそれぞれ対象といたします。
利用する情報は、画像情報、診断名、年齢、性別になります。
個人情報の取り扱い
利用する情報からは、お名前、住所など、患者さんを直接同定できる個人情報は削除します。また、研究成果は学会や学術雑誌で発表されますが、その際も患者さんを特定できる個人情報は利用しません。
研究期間
倫理審査委員会承認後から西暦2016年12 月31日迄
研究への参加を希望されない場合
今回の研究へ参加を希望されない患者さんは、下記の研究責任者 福島啓太までご連絡ください。患者さんに関するすべての医療情報の登録の中止と削除を速やかに行います。
本研究に関する問い合わせ先
杏林大学医学部付属病院放射線部
〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2
Tel: 0422-47-5511
研究責任者 福島 啓太
E-mail: keitaf1262@ks.kyorin-u.ac.jp
近年の主な業績
- Arisa Ohara, Haruhiko Machida, Hisae Shiga, Wataru Yamamura, Kenichi Yokoyama. Improved Image Quality of Temporal Bone CT with an Ultrahigh-Resolution CT Scanner: Clinical Pilot Studies. Jpn J Radiol 38(9): 878-883, 2020.
- Tateishi H, Kuroki K, Machida H, Iwamoto T, Kariyasu T, Kinoshita Y, Watanabe M, Shiga H, Yuda S, Yokoyama K.: Clinical applications of digital angiography with the harmonization function in body interventional radiology. Jpn J Radiol 38: 922-933, 2020.
- 横山健一:心臓・大血管画像診断の勘ドコロNEO, 東京, メジカルビュー社, 2021.
- Miyauchi R, Yamada T, Kumano R, Aida Y, Takagi M. Recurrent hyperparathyroidism due to parathyroid and pulmonary tumors showing features of parathyroid adenoma. Radiology Case Reports 15(8): 1289-1294, 2020.
- Adachi T, Machida H, Nishikawa M, Arai T, Kariyasu T, Koyanagi M, Yokoyama K:Improved delineation of CT virtual bronchoscopy by ultrahigh-resolution CT comparison among different reconstruction parameters. Jpn J Radiol 38:884-889, 2020.
- 横山健一 心血管領域の標準的撮像法: MRI画像診断ガイドライン2021年版 日本医学放射線学会編 東京 金原出版株式会社 169-174 2021
- Gomyo M, Tsuchiya K, Goto S, et al : Usefulness of black-blood magnetic resonance angiography generated from vessel wall imaging after the stent-assisted treatment of intracranial arterial diseases. Neuroradiol J. 6. 2021 Jun. DOI: 10.1177/19714009211021775.
- Watanabe M, Taguchi S, Machida H, et al: Clinical validity of non-contrast-enhanced VI-RADS: prospective study using 3-T MRI with high-gradient magnetic field. European Radiology 2022 https://doi.org/10.1007/s00330-022-08813-4